財布やカバン、スマホケースなどの素材として、本革という言葉はよく耳にすると思います。高級感がありそうで良い響きですよね。
ですがそもそも本革とは一体どういうものなのでしょう。値段は高いものの、そのほかの素材と比べて本当に優れているのでしょうか?
こちらでは本革の特徴と他の素材との比較をしながら、それぞれの特徴をご紹介します。
本革の概念
端的に言うと本革は動物の皮から作られた革の総称です。
別名は天然皮革。牛だけでなく、豚や馬、さらには爬虫類から作られた革もすべて本革です。本革に樹脂などの塗料を塗り、耐水性を上げたものも本革として扱われます。
逆に植物由来の生地に合成樹脂を塗って革風に仕上げたものは本革とは呼べません。それらは合成皮革(合皮)と呼ばれて、本革と区別されます。
英語では本革(Real leather)/合成皮革(Fake leather)と呼ばれるのでイメージしやすいですね。
本革の特徴(メリット)
1.経年変化
本革と合皮の最も大きな違いは使い込むことで変化する点です。
長い間使い込むことで色に深みが増したり、柔らかく使いやすくなったりと、使い込むごとに様々な特徴が出てきます。
これを経年変化(エイジング)と呼びます。
エイジングは時間がたつ、水分・油分の付着、日光に当たる・・・など、様々な要因によって進み、丁寧に使いこむことでより綺麗に色味が増して変化していきます。
革の種類によって程度の差はありますが、中でもヌメ革と呼ばれる植物由来の成分「タンニン」を使用してなめされた皮革は大きく性質が変化します。
初めは淡いクリーム色ですが、だんだんと色が深く、つやが出てきて飴色に変化します。
また、本革であっても染色されていたり、表面に塗料がぬってあったり、型押しされていたりすると経年変化は少ないとされています。
一方、合成皮革はエイジングはせず、使っているとどうしても樹脂がはがれて見た目が悪くなってしまいます。
長い間使うことで出てくる革最大の魅力「エイジング」。これが本革と合皮の一番大きな違いと思います。
2.形状記憶と柔軟性
革には折り曲げた方向のまま固定される性質があります。これを可塑性と呼び、革1枚で立体的な形状を作り出すことができます。高級感のある立体的な造形はこの可塑性によるものが大きいです。
この性質を利用して革に彫刻を施すカービングという技術もあります。
加えて使用していく中で繊維がほぐれ、革そのものが柔らかく変化していく柔軟性を持ち合わせています。
この性質により財布や革靴などの革製品は、使い込むことで次第になじんでくるとされています。初めは固く使いずらかった財布が、徐々に手になじんでくるのはまさに育てる楽しみとも言えますね。
3.長持ちする
革には丈夫なイメージがありますよね。
同じ薄さの布と比べるとその差は歴然です。繊維がしっかりと絡み合っており、軽く引っ張った程度では形は変わりません。
ですが合皮と比較するとどうかというと、実は生地自体の強度はそこまで変わりません。ただ、合皮にはどうしても長持ちしない理由があります。
その原因は加水分解です。
合皮は布地の表面にプラスチックの塗料(PVCやPU)が塗られています。プラスチック成分は年月が経つと加水分解されてしまい、耐久性がおちてしまうのです。
加水分解とは簡単にいうと水分によって成分が分解されてしまうこと。
分解されることで布地からはがれてしまったり、ひび割れたり、べたついたり・・・もちろん生地自体の強度も落ちてきます。
いくら水に濡れないように気を使っていても、空気中の水分で加水分解は起こってしまうので、合皮で作られた製品は早いと3年ほどで劣化してきます。
本革でも年月が経つことで、表面に塗ってある塗料がはがれることはありますが、合皮のように大きく劣化することは少ないです。そのため本革の製品は10年~20年と使い続けることができるのですね。
本革の特徴(デメリット)
1.高価
本革は動物の皮を使用しています。
タンナーと呼ばれる皮革メーカーによって製造されており、皮を革にする工程(なめし)は簡単ではありません。
いくつもの工程を経て本革は作られているので、大量生産が可能な合成皮革と比べるとどうしても価格は高くなる傾向があります。
2.手入れの手間
傷がつかないように丁寧に扱う、水が付いたらすぐにふき取る、定期的にクリームを塗って保湿する・・・等々。本革の製品は手入れにこだわりだしたらキリがありません。
個人的にはそこまで神経質になる必要はないと思っています。
水に濡れて一部が変色してしまったり、傷をつけてしまったりといった変化もエイジングの一つ。その製品と使用者の思い出ではないかなと考えています。
ですがもちろん決して安くはない革製品。気に入って購入したものほど、きれいなまま長く使いたいもの。大切に使っていくためにはほかの素材よりも手入れの手間は多いといえますね。
3.品質のばらつき
動物の皮を使用するため個体差が生まれます。動物に傷やほくろがついていたりすると、鞣(なめ)して作られた革にもそれが出てきます。そういった部位を使用しないように厳選すればするだけ原価が上がり、商品として価格が高くなります。
人工的に作られる布や合皮は品質のばらつきはほぼないので、これも革のデメリットといえるでしょう。しかし、革の品質が一定でないということは、本革で作られた商品はまったく同じ商品は一つとして存在しないとも言えます。
品質のばらつきととらえるか、個性が出てくるととらえるか。その人の考え方によって本革の魅力は大きく変わりますね。
まとめ
本革の特徴を紹介をしてきましたが、まとめると以下のようになります。
【メリット】
・色の変化と柔軟性により、使い込むことで経年変化が楽しめる。
・可塑性があり、立体的な造形が可能。
・ほかの素材に比べて丈夫で長持ち。
【デメリット】
・比較的高価
・長く大切に使うには手入れが手間
・素材の時点で品質にばらつきがある。
このように本革には良い点もあれば悪い点もあります。
そして本革という言葉は動物の革から作られている証明でしかないので、「本革だから価値がある!」「本革だから良い商品。」という考え方はあまりお勧めできません。
確かに素材としての価格は比較的高いですが、中には本革より高い合成皮革もあります。
本革の特徴を正しく理解して、その価値を判断することが大切なことだと思います。
また、革には本当に多くの種類があり、その性質も大きく異なるので自分の気に入った革の種類を知っておくと、現物に触れないネットショップでの買い物にも役に立つかもしれませんね。
今後も様々な革の種類を紹介しますので是非役立ててみてください。